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サンブルの人数をたくさんにするのか、あるいは10人にするのか20人にするのか、それを5人にするのかによってもいろいろ違ってまいりますし、いろいろ細かいことがいっぱいございます。そのもろもろがこのナンバーを打って書いているものでございます。

 

○前田 
今、演目を決めるというところの話を中心にしていただきました。これを公共ホールの立場でどういう位置に置きかえて考えればいいかといえば、年間幾つかの事業を企画しますよね。事業を1つ企画するのと同じ仕事になるんじゃないかなと思うんですね、この演目を決めるということが。それには回りの状況ですとかいろんなことがあるでしょうけれども、山下さんのお話で、皆さんのご経験とをもう1度引き比べてみていただければと思います。

 

○山下 
今私が関与していますシアター・ドラマシティというのは、けさほども申し上げましたように、898席の劇場でございます。私どもの料金設定は、先ほど申し上げた、いわゆるサポート企業なんかの援助の手前がありますので、コマ劇場やほかの商業劇場のように仕込み額を65なり70なりに想定して、逆算して観劇料金は設定するということをとっておりません。ただ、私どものヘッドの方針としては、極力7000円あるいは7500円、8000円ぐらいの料金で70%を損益分岐点にするべしというたがをはめられております。ただ、なかなか現実と理想とはうまく合致しませんで、それはプロデューサーのやり方が悪いんじゃないか、高い役者を買い過ぎているんじゃないか、こういうことにもなろうかと思いますが、人気のある人ほどやはりギャラは高い。当たり前のことなんです。しかも、これは商業劇場、コマ劇場なんかの場合ですけれども、人気のある、いわゆる演歌の歌手、座長ができるような歌手は営業値段というのがありまして、日立てで営業値段で仕事をしていた方がもうかるわけですよ。けいこを入れて1ヵ月半から2ヵ月劇場に拘束されると、プロダクションとしてはうま味がないんですね。
あるときこういうことがありました。渡辺プロが全盛のころにクレイジー・キャッツという大人気グループがいまして、それが必ず8月は梅コマで定例の公演をやったんです。渡辺プロダクションに言わせたら、梅コマ公演は彼らの夏休みになっちゃうんだと。東京で仕事をしていますとテレビとかけ持ちができるんですよ。ところが、大阪だとそれができない。休演を1日も2日もとればできますけれども、そのころは昼夜2回やるのは当たり前の時代、今のように1週間に1回休むとか、そういうことが考えられなかった時代ですから、25日興行すれば50回やるという時代でした。それでもギャラ的には夏休みだと、そういうふうなことがございました。

 

 

 

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